
名入れ(箔押し)できる本革財布、パリ17区のアトリエ製
財布は一日に何十回もポケットから取り出されます。そこに名前やイニシャル、日付が箔押しされていれば、その何気ない仕草はまったく違う意味を帯びます。署名であり、目印であり、誰か一人だけのものになった証です。名入れによる箔押しは、まさにそれを可能にします。ただし、長く使えるように仕立てられていることが条件です。
名入れができて、なおかつ本格的に作られた財布は、思う以上に少ないものです。質の低い革に箔押しを施すと、文字が薄れたり、革が焦げたり、ひび割れたりするからです。仕上がりを決めるのは意匠の繊細さだけでなく、革と技術の選び方でもあります。
この記事では、フルグレイン牛革への箔押しの仕組み、名入れに向くモデル、そしてパリのアトリエで職人の手により仕立てられた財布が贈り物や自分用の一着として何を変えるのかを解説します。
要点
- 100℃の箔押しはフルグレイン牛革の繊維にくっきりと定着し、使い込んでも消えません。
- 仕上げは金・銀・ナチュラル(革の色そのまま)の3種類、求める印象に合わせて選べます。
- Suki の全製品が名入れの対象です。ミニ財布、カードケース、パスポートケース、バッグ、キーホルダーまで。
- 植物タンニンなめしの革は経年変化を重ねます。箔押しも革になじみ、時とともに味わいを増していきます。化学なめしの革では、こうはいきません。
- 製造はパリ17区、Rue Labie のアトリエで。小さなロットで、外部委託も輸入もありません。
- 贈り物にふさわしいです。箔押しが上質な財布を、世界に一つだけの記憶に残る品に変えます。
- 接着による加工は一切ありません。意匠も箔押しも、革の表面ではなく厚みの中に作り込まれています。
革への箔押し、その仕組み
箔押しでは、100℃に熱した型を、正確に定めた一瞬だけ革の表面に押し当てます。熱が革の繊維を圧縮し、わずかに凹んだくっきりとした跡を残します。この跡は革そのものの色合い(牛革なら琥珀がかった茶色)のまま残すことも、金箔や銀箔で引き立てることもできます。
なぜ100℃という精度が必要なのか
この温度を下回ると、跡は浅すぎてすぐに薄れてしまいます。上回ると、革は焦げて黒ずみ、意匠の周りの柔らかさも失われます。植物タンニンなめしのフルグレイン牛革に対して正確に100℃で押すと、熱は繊維を傷めることなく浸透します。跡は消えることなく、きれいに残り、周囲の革も無傷のままです。
この精度は、化学なめしの革(補正革や合成皮革)では再現できません。表面のコーティング層が熱に対して予測できない反応を示すからです。だからこそ、革の質がそのまま箔押しの質を決めます。革の種類による品質の違いをさらに詳しく知りたい方は、フルグレイン牛革と補正革の違いを解説したガイドで技術的な基準を確認できます。
ナチュラル・ゴールド・シルバー、仕上げの選び方
ナチュラル仕上げは箔押しを革そのものの色に留めます。控えめで、素材になじみながら経年変化とともに表情を変えていきます。ゴールド仕上げは最も見やすく、はっきり見せたい名前や日付に向いています。シルバー仕上げは上品なコントラストを生み、黒やフォレストグリーンなど濃い色の革によく映えます。
- ナチュラル:控えめで時代を選ばず、さりげない日常使いに。
- ゴールド:温かみがあり見やすく、贈り物やキャメル・ヌードなど明るい革におすすめ。
- シルバー:モダンでコントラストが際立ち、黒や濃いグリーンの革におすすめ。
名入れに向くモデルは
箔押しは Suki の全モデルで可能です。紙幣・カード・小銭を収める本来の意味での財布として名入れしたい場合、最も人気があるのはミニ財布とカードケースになります。
ミニ財布:ファスナー仕立てのモデル
Suki のミニ財布(アシル、ベリーズ、フレイヤ、ナクソス)はいずれもファスナー仕立てで、植物タンニンなめしのフルグレイン牛革を使っています。なめらかな表面と植物タンニンなめしという性質が、箔押しに理想的な土台となります。熱は均一に浸透し、時間とともに育つ経年変化は箔押しの跡を損なうどころか、むしろ豊かにしていきます。
| モデル | 展開カラー | 特徴 |
|---|---|---|
| アシル | 複数色展開 | コンパクトなフォルム、センターファスナー |
| ベリーズ | 複数色展開 | しなやかなフォルム、外周ファスナー |
| フレイヤ | スムースなアップサイクルレザー | サステナブルな取り組み |
| ナクソス | イタリアンレザー、複数色展開 | 財布型フォルム、ファスナー仕立て |
カードケース:ミニマルな形に、際立つ箔押し
レザーカードケース(アムール、キス、スウィーティー、ウィンド、カイロス)はミニマルさを大切にする人に向いています。ファスナーはなく、モデルによってスナップボタンやフラップで留める仕立てで、その平らな表面は中央に配置する箔押し(イニシャルや短い言葉、日付)にとりわけ映えます。
これらのモデルを特徴づける、手作業でコバ塗りを施した切りっぱなしの縁は、仕立ての質の高さを物語り、箔押しを自然に引き立てる額縁のような役割を果たします。
パスポートケースとキーホルダー:贈り物の選択肢
旅の贈り物には、パスポートケース(ニキティ、セビリア、ビズー、ドリーム)が向いています。封筒型でフラップの付いたゆったりとした表面は、はっきりと見える箔押しに最適です。キーホルダー(ビズ、レインボー、テイラー、ワイルド、レイ、ジギー、ヴィーナス、ホームズ)は、初めての名入れに最も気軽に選べる入門的なフォーマットとなります。
パリでの製造が変えるもの
箔押しは、機械任せにすればそれで済むという作業ではありません。圧力、押し当てる時間、角度は、箔押しする箇所の革の実際の厚みによって変わります。革を知り尽くした職人だからこそ、その場で調整できます。
Suki のアトリエは、パリ17区の Rue Labie にあり、小さなロットで、外部委託も輸入もなく製造しています。一点ずつ手作業で組み立てられ(手縫い、くるみボタン仕立てのホック、巾着バッグ アルタイに施される手作業の編み込み)、箔押しを受ける革が、その場で用意され検品されたものと同じであることを保証しています。この製造のあり方について詳しくは、パリの革小物アトリエについてのガイドで解説しています。
植物タンニンなめし革の経年変化と箔押しの関係
植物タンニンなめしの革は、時間と使用とともに色合いも質感も変わっていきます。これが経年変化です。一方、箔押しは変わりません。文字は消えることがありません。年月を重ねると、箔押しの周りの表面はわずかに色を濃くし、艶を帯びます。その結果、意匠はぼやけるどころか、かえって際立ってきます。時間とともに輪郭を失う表面加工とは、まさに逆の現象です。
箔押しした財布を正しく手入れし、跡の繊細さを損なわずに革に栄養を与えるには、シリコンを含まない無色の栄養クリームを、柔らかい布で薄く塗ることが基本になる。革バッグのお手入れガイドでは、この方法を Suki の革小物全般に応用できる形で詳しく解説している。
名入れ財布を贈るということ
名入れの贈り物がうまくいかないのは、名入れの出来が品物を上回ってしまうとき、あるいはその逆のときです。箔押しした財布が良い贈り物になるかどうかを決めるのは、革の質、箔押しの仕上がり、そして選んだ言葉やイニシャルの的確さです。この三つが揃うかどうかにかかっています。
財布に箔押しする文字、何を選ぶか
長く映えるのは、いちばんそぎ落とされた選択肢です。イニシャル(1〜3文字)、短い名前、数字だけの日付。パスポートケースのような大きな面であれば一文の言葉も成立しますが、カードケースでは読みづらくなってしまいます。実践的な目安は、文字数が少ないほど、一文字一文字がくっきりと美しく残るということです。
- イニシャル:定番で時代を選ばず、どのモデルにも合います。
- 名前:パーソナルな選択で、ミニ財布やパスポートケースにおすすめ。
- 日付:記念日、誕生、結婚。アラビア数字でもローマ数字でも。
- 短い言葉:「Merci」「Always」、地名など。特別な想いを込めて。
贈り物には金・銀・ナチュラルのどれを選ぶか
相手の好みが分からないなら、キャメルやナチュラルの革にゴールド仕上げを合わせるのが確実な選択です。見やすく、温かみがあり、控えめでありながらしっかり見えます。控えめなアクセサリーを好む相手への贈り物なら、明るい色の革にナチュラル仕上げを合わせるのが最も上品です。黒の財布であれば、シルバーもゴールドもどちらも似合います。ゴールドの方がより温かみを添えます。
名入れ財布は何日前に注文すべきか
箔押しは注文ごとにアトリエで行われます。所要日数はその時々の注文量によって変わりますが、通常の注文より数日多く見ておくことをおすすめします。特に年末年始などの繁忙期はその傾向が強まります。正確な納期と条件は、注文時の商品ページに記載されています。
名入れとフランス製革小物:変わりゆく市場
地元で作られ、来歴が分かり、修理もできる。そんな名入れの品への需要は着実に高まっています。特に、質を犠牲にすることなく大手ラグジュアリーメゾンに代わる選択肢を探す層にその傾向が強いです。植物タンニンなめし革への箔押しは、まさにこの期待に応えます。大量生産を経ることなく、一点だけの品を生み出すからです。
名入れの革小物も、旅行用や小物のフォーマットで同じ考え方に沿っています。ラインナップに一貫性があるからこそ、財布とお揃いのキーホルダーのように、複数の品に同じ箔押しを施すことができ、ギフトセットや法人向けの注文にも対応できます。
よくある質問
箔押しは革を傷めないか
傷めません。ただし、フルグレインで植物タンニンなめしの革であることが条件です。100℃では、熱は繊維を焦がしたり弱めたりせず、圧縮するだけです。化学なめしの革や合成コーティングを施した革では、周囲の表面がひび割れたり黒ずんだりすることがありますが、Suki が使う植物タンニンなめしの牛革ではそうした心配はありません。
どんな文字や意匠でも箔押しできるか
短い文字(イニシャル、名前、日付)が最も美しく仕上がります。複雑な意匠は、パスポートケースのような大きな面であれば可能です。いちばん確実なのは、注文の際に希望を伝えることです。アトリエがモデルと使える面積に応じて、実現できるかどうかを助言してくれます。
箔押しは水濡れや湿気に耐えるか
耐えます。跡は革の表面ではなく内部に刻まれているため、水や摩擦で消えることはありません。金や銀の仕上げは、長年にわたり酷使される部分では少しずつ薄れることがありますが、見えなくなることはありません。シリコンを含まない無色の栄養クリームで定期的に手入れをすれば、革と箔押しの繊細さを両方とも保つことができます。
名入れ財布はその場で店頭から贈れるか
贈れます。パリ17区、Rue Labie の Suki のアトリエでは、店頭受け取りのサービスをご利用いただけます。箔押しは予約制の来店時にその場で行うことも、オンラインで注文することもできます。どの品も、収納用のコットンポーチとともにお届けします。

創業者・革職人
Amandine Simon
Suki Paris 創業者。パリ17区のアトリエで、一点ずつ手作業で仕立てています。






