
革バッグのお手入れ:長く連れていくための手入れのすべて
革のバッグのお手入れは、思われているよりずっと簡単で、思われている以上に大切なことです。放っておかれた革は乾き、ひび割れ、わずか数シーズンで艶を失っていきます。逆に、こまめに手をかけられた革は何十年も生き続け、他のどんな素材にも真似できない経年変化をまといます。
Sukiでは、イタリアから選び抜いたベジタブルタンニングのフルグレイン革を、パリ17区のRue Labieにあるアトリエで仕立てています。このガイドには、お客様に日頃お伝えしていることをすべてまとめました。毎日の習慣、ここぞという時のケア、そしてベジタブルタンニング革ならではの特性について、Sukiの製品を身につける方に向けてお届けします。
魔法のような製品はいりません。大切なのは、正しい仕草を積み重ねることだけです。
革のバッグに定期的な手入れが必要な理由
革は生きている素材です。呼吸し、周囲の湿気を吸い込み、熱や光に反応します。合成素材のようにただ古びていくのではなく、どう扱われるかによって、その表情を変えていきます。
きちんと手入れされた革のバッグは、年月を越えて価値を保ち続ける投資になります。逆にどれほど質の良い革でも、手入れを怠れば2、3シーズンでひびが入ることもあります。その差を生むのは、シンプルな仕草をどれだけ習慣にできるかだけです。予防にかかる手間は、修理にかかる手間に比べればとても小さいです。
革のバッグを長持ちさせる、毎日の習慣
革のバッグのお手入れは、お手入れ用品を使うよりも前から始まっています。長い目で見て差がつくのは、日々の何気ない習慣のほうです。
- 長時間の直射日光を避けましょう。直射日光は繊維を傷め、色あせの原因になります。使わないときはクローゼットや日陰の棚にしまうのが理想的です。
- 詰め込みすぎないようにしましょう。パンパンに詰まったバッグは縫い目に負担をかけ、フォルムを崩し、力がかかる部分の革を伸ばしてしまいます。使わないものは取り出しておきましょう。
- 先の尖ったものや刃物は入れないようにしましょう。鍵、ペン、ハサミなどは裏地を傷つけ、内側から革に穴を開けてしまうことがあります。
- コットンの保存袋にしまいましょう。Sukiの製品にはすべて専用の保存袋が付いています。擦れやほこりから守ってくれるうえ、プラスチックとは違って革がきちんと呼吸できます。
- 色落ちする濃色の衣類には注意しましょう。生デニムや黒・紺のニットは、キャメルやナチュラルなど明るい色の革に色移りすることがあります。一度染料が染み込んでしまうと、元には戻りません。
革に潤いを与える方法:クリーム、バーム、頻度
これが、革のバッグの手入れの中でいちばん大切な仕草です。シンプルで、時間もかからず、長い目で見て決定的な差を生みます。
どんな製品を選ぶか
シリコンを含まない、無色の栄養乳液を選びましょう。蜜蝋やラノリンをベースにした製品が、繊維にいちばん優しいです。角や持ち手など擦れやすい部分には、仕上げ用のワックスバームを足してもいいでしょう。人工的なツヤ出し成分の入った製品は避けましょう。毛穴をふさぎ、経年変化を妨げ、時間が経つと見た目も悪くなります。
私たちが使うのは、天然の蜜蝋だけです。特定の商品をおすすめするためではなく、これが私たちの革に合うからです。
塗り方
清潔で柔らかいコットンの布を用意しましょう。古いシャツの切れ端でも十分です。乳液をクルミ大ほど布に取ります(直接革につけないこと)。表面全体を円を描くように馴染ませ、乾きやすい部分(角、縁、折り目、持ち手)には特に丁寧に行いましょう。
10分ほど置いて浸透させたら、清潔な布で余分な乳液を拭き取りましょう。もう少しハリを出したければ、柔らかい豚毛や馬毛のブラシで軽く整えるといいでしょう。
鉄則はひとつ。薄く塗るほうが、厚く塗るよりずっといいです。つけすぎるとベタつき、ほこりを呼び寄せ、毛穴をふさいでしまいます。
どのくらいの頻度で
普段づかいなら年に2回、毎日持ち歩くバッグなら3〜4回が目安です。雨に降られたときや過酷な環境にさらされたときは、そのたびに必ず行いましょう。革が少しマットに、くすんだように見えてきたら、それは「潤いが足りない」というサインです。いずれの場合も、つけすぎないこと。余分な製品は毛穴をふさぎ、経年変化を妨げてしまいます。
シミがついた革のバッグの落とし方
まず何より、慌てないこと。ほとんどのシミは革の奥深くまでダメージを与えることはありません。時間が経つにつれて経年変化に馴染み、自然と目立たなくなるものもあれば、早めの対処が必要なものもあります。
油汚れ・オイルジミ
まずは乾いた布で余分な油をすぐに押さえ取りましょう。こすらないこと。コーンスターチかベビーパウダー、あるいはフラー土をシミの上にふりかけ、数時間、できれば一晩置きます。粉が油分を吸い取ってくれます。その後やさしくブラシをかけ、必要なら繰り返しましょう。ほとんどの場合、シミはかなり目立たなくなります。
水ジミ・輪ジミ
意外に思うかもしれませんが、効果的な方法があります。湿らせた布、あるいはレモン水を軽く含ませた布で、バッグ全体をまんべんなく湿らせるのです。こうすることで革全体が均一に水分を吸い、乾く過程で輪ジミが消えていきます。熱源から離れた場所で自然乾燥させ、乾いたらクリームで栄養を与えましょう。
インクのシミ
最も手強いシミです。インクは繊維の奥まですぐに染み込んでしまいます。ついたばかりであれば、柔らかいメラミンスポンジで軽くこすると多少は薄くなります。専用のインク消しも助けにはなりますが、完全に消えることはめったにありません。時間が経てば、経年変化がそのシミを革の表情の一部として取り込んでいきます。そのまま受け入れましょう。それもまた、バッグが語る物語のひとつです。
革のバッグが雨に濡れてしまったら
水そのものは革の敵ではありません。ダメージの原因になるのは、乾いた革が突然の湿気にさらされることです。繊維が水を不均一に吸い込み、乾く過程で輪ジミやこわばりを生んでしまうのです。
バッグが雨に濡れてしまったら、まず清潔な乾いた布で表面の水分を拭き取りましょう。薄葉紙を軽く詰めてフォルムを保ちながら、常温で自然乾燥させます。暖房器具やドライヤー、直射日光は絶対に使わないこと。12〜24時間ほどで乾いたら、クリームで栄養を与えましょう。
普段からきちんと栄養を与えられている革は、多少の雨なら跡形も残さず吸収してしまいます。日頃の保湿こそ、いちばんの防御策です。
植物タンニンなめし革:特有の手入れ
ベジタブルタンニング革は、Sukiが用いている素材そのものです。イタリアから選び抜き、Rue Labieのアトリエで仕立てています。数ある革の中でも最も気品のある革であり、そのぶんいくつか気をつけたい点があります。
植物タンニンなめしは、樫、ミモザ、栗といった樹皮から取れる天然のタンニンを使います。クロムなめしがわずか24時間で終わるのに対し、この工程には6週間かかります。この時間のかけ方こそが、革に密度と呼吸するような質感、そしてクロムなめしでは決して得られない経年変化する力を与えています。
この革ならではの注意点は、次のとおりです。
- シリコンや人工的なツヤ出し成分は使わないようにしましょう。毛穴をふさぎ、まさにベジタブルタンニング革の美しさそのものである自然な経年変化を妨げてしまいます。
- 乾燥は自然乾燥のみにしましょう。熱を加えて無理に乾かすと、繊維が元に戻らないほど硬くなってしまいます。
- 経年変化こそが目指すべきものです。持ち手のあたりが少し濃く色づいたり、角がマットな艶を帯びたりするのは、革が生きている証です。それを拭き取ろうとしないこと。
二年間手入れを重ねた植物タンニンなめし革は、新品のときよりも美しい表情をしています。何百日分もの光を吸い込み、持ち主の手の形をそのまま覚えているからです。完璧ではないからこそ、そこに味があります。時間の経過そのものが、革をより美しくしていきます。
使わない間、革のバッグをどう保管するか
保管方法は見落とされがちです。だが実のところ、バッグが一生のうちで最も長く過ごすのは、この「しまわれている時間」なのです。
- コットンの保存袋に入れましょう。ほこりから守り、革がきちんと呼吸できます。密閉されたプラスチック袋は避けること。
- 折りたたんで保管しないようにしましょう。折ったまま置いておくと、その折り目が革についてしまいます。内側に薄葉紙を詰めて、フォルムを保つこと。
- 日陰で保管しましょう。クローゼットや棚の中に。日の当たる窓辺は避けましょう。
- バッグ同士を直接触れさせないようにしましょう。染料の色移りを防ぐため、薄葉紙を挟んで保管しましょう。
革を傷めてしまう、避けたい習慣
きっぱりとやめてしまいたい習慣がいくつかあります。
- 熱で乾かすこと。暖房器具、ドライヤー、直射日光。革は硬くなり、ひび割れ、本来持っている油分を失ってしまいます。
- 家庭用洗剤で掃除すること。アルコール、酢、洗剤の類は、革の表面を剥がし、仕上げを台無しにしてしまいます。
- 密閉されたプラスチックで保管すること。革が呼吸できなくなり、湿度の高い環境ではカビが生えることもあります。
- お手入れ製品をつけすぎること。薄く染み込ませるほうが、表面に残って埃を呼び寄せる厚塗りよりずっといいです。
- できたばかりのシミをこすること。こすると汚れが広がり、繊維の奥に押し込んでしまいます。常に押さえる、叩くようにしましょう。決してこすらないこと。
私たちがどのように革と向き合っているのか、もっと知りたい方は、Rue Labieのアトリエでの一日についての記事もあわせてお読みください。なぜ私たちがこの革を選んでいるのか、その理由がきっと伝わるはずです。
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創業者・革職人
Amandine Simon
Suki Paris 創業者。パリ17区のアトリエで、一点ずつ手作業で仕立てています。
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